挨拶 Greeting

 安全な道路環境づくりに少しでも貢献できたらと思い,このウエブを立ち上げました。

 交通事故の多くは,当事者の前方不注意が原因であるとみなされますが,その背後には,前方不注意を誘発しかねない道路環境があるように思います。前方が見難かったとか,実際とは異なるように見えてしまったとかです。見たものが実際とは異なるようにみえることを錯視といいます。この錯視の起こりやすい場面をできるだけたくさん発掘して,それを錯視の起こりにくい環境へ改良できれば,交通事故を減らせる可能性があります。

 そこで,道路の錯視に関してできるだけ多くの事例を集めたいと思い,このウエブを作りました。道路の状況を見誤ったことが原因で,ひやっとしたとか,もう少しで事故を起こしそうになったとかいう体験をお持ちでしたら,教えていただけないでしょうか。それを道路の錯視という視点から整理し,交通事故を減らすための環境整備の指針作りに役立てたいと思っています。

 私たちは,「計算錯覚学」という研究プロジェクト(JST,CREST事業)の中で錯視の研究をしています。その中で,プロジェクトメンバーが手分けして今までに集めることができた道路の錯視には,次のようなものがあります。

  1. 縦断勾配錯視(自分が走っている道路が上り坂か下り坂かを間違える現象)
  2. 車線の錯視(対向車の車線を誤認する現象)
  3. 信号の錯視(近い信号と遠い信号を逆に感じる現象)?
  4. 等速接近車の錯視(見通しのよい交差点に近づく車に気づかない現象)
  5. ライトの高さと距離感(暗い道路でライトの高さから車の距離を誤認する現象)
  6. 速度の錯視(トンネルを抜けた後の自分のスピードを遅く感じる現象)?
  7. 左右を逆に感じる錯視(鏡を通して見る景色を,直接見る景色と混同する現象)?
  8. テールランプとブレーキの錯視(テールランプをブレーキランプと誤認する現象)
  9. 歩行者を見やすくするために引っ込めた壁(歩行者通路を車室と誤認する現象)?
  10. 柵による死角(遠くからは見えるのに近づくと見えなくなる現象)

 これらの内容については,冊子の形でも公表しています。
http://compillusion.mims.meiji.ac.jp/pdf/roadillusions.pdf

 他にもまだまだ多くの「道路の錯視」体験が,皆様の中に眠っているのではないかと想像しています。それらをお寄せいただき,みんなの共有財産として活用することによって,交通事故を減らすことに貢献できたらと思います。ぜひとも奮ってご投稿ください。

 ご投稿いただくときは,同じような体験がすでに投稿されているのではないかということは,気にしなくてかまいません。同じ体験の数が多いかどうかも重要性を知る大切な手掛かりになりますから,どんどんお寄せいただければと思います。

 その際,もし特定の場所で起こる現象でしたら,住所や交差点名などその場所の情報はできるだけ詳しく頂きたいと思います。

 ご協力を,どうぞよろしくお願いします。

杉原厚吉